石けんを手作りする方々にはお馴染みのパーム油。アブラヤシの果実から得られる植物油で、果実の部分からパーム原油、種子部分から得られるのがパーム核油です。そのパーム油は、汎用性の高さから世界がパーム油を消費することで、熱帯林の深刻な環境や社会課題を多く抱えてきました。
日本に輸入されるパーム油の80%は食用となるそうです。マーガリン、チョコレート、アイスクリーム、ホイップクリームなどには口溶けのなめらかさから代替品として利用されます。ポテトチップス、カップラーメン、フライドポテトなどには、加熱や酸化耐性が強いため揚げ油として利用されます。
そして一般的な石けんや洗剤の原料としてのパーム油、他にも化粧品・医薬品などの消費生活用製品からバイオ燃料にまで幅広く利用されています。
現状でパーム油に関係する課題は、次の7つのことがあげられます。
1)熱帯林、泥炭湿地林などの伐採・・・保護価値の高い自然林など伐採され完全に失われる
2)森林火災・泥炭火災・・・禁止されている「火入れ」を行い温室効果ガスと煙害が国際問題化
3)生物多様性の損失・・・熱帯林を農園に変換し生物多様性に致命的な影響を与える
4)気候変動・・・廃液由来のメタンガスなど温室効果ガスを大量に排出
5)土地をめぐる先住民などとの紛争・・・一方的に開発を進め、生活の糧である森や土地を奪う
6)土壌侵食・汚染など・・・有害性の強い農薬や化学肥料などによる周辺の汚染
7)労働と安全問題・・・社会的公正を欠く労使問題
これらは生産国の法規制が適切に整備され、遵守されていれば、大きな問題にはならないと考えられていますが、実際は法規制によるアプローチだけでは対処できないのが実情のようです。そこで持続可能なパーム油を目指す非営利組織が設立されました。「持続可能なパーム油のための円卓会議」RSPOです。
うぶぶ石けんにもパーム油が配合されています。それは硬さのためや洗い上がりの心地よさのためですが、「うぶぶ」の製造を依頼する際にこのパーム油の課題に直面しました。環境や社会課題を多く抱えているパーム油を止めて、他の植物油脂に切り替えるのか。
「うぶぶ」を製造するためにどうしたかというと、このRSPOのメンバーとなられている企業様から油脂を購入することにして製造をしました。今後もパーム油に関する環境と社会課題について、意識を高めて参ります。
RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議※)

RSPOは2002年に、世界自然保護基金(WWF)の呼びかけに応じたパーム油産業に関わるAarhus United UK Ltd.(英油脂企業)、Migros(スイス小売)、マレーシアパーム油協会、ユニリーバが一堂に会し、持続可能なパーム油に関する議論を始めたことから発展。2004年4月に「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」として設立されました。毎年11月に世界規模の会議が開かれます。
ビジョン
RSPOは持続可能なパーム油が標準となるよう市場を変革する
と書かれています。
アブラヤシ農園から始まり、最終製品ができるまでの各工程を認証することにより、全工程にわたる管理の連鎖がつながり、最終製品中のパーム油の追跡を可能としていくため、生産と流通の2つの認証を行い持続可能な環境にしていくというもの。
非売運動では解決にならないという考えから進められてきました。
JaSPON(持続可能なパーム油ネットワーク)
パーム油の日本市場においても、JaSPON(ジャスポン)が設立されています。(2019年4月11日)パーム油生産における環境面などさまざまな問題を解決することを目指し、日本市場における持続可能なパーム油の調達と消費を加速させるため、18社/団体で設立されました。
会員は「RSPO認証の持続可能なパーム油の調達と消費を産業界全体に促すことを目的に活動しています。」と表記されています。日本での活動がRSPOの後押しにつながっているんですね。
※円卓会議
円卓会議とは文字どおり丸いテーブルを囲んで行う会議のこと。RSPOでは意見のバランスを考えてパーム油の生産者や製油業者、パーム油を使って製品を作る企業、流通に関わる商社、環境保護、人権保護の観点で語るNGO、パーム油業界に投資する銀行や投資家、製品を販売する小売業者といった異なる視点を持った関係者が、丸いテーブルを囲むように平等な権利を持って参加しています。
うぶぶ便り